ジャンル :アドベンチャー ブランド :パイオニアLDC 発売日 :1998年11月27日 価格 :8800円(税別) 初回生産特典 :マウスパッド
今回のレトロギャルゲーは パイオニアから発売されました、PC用アドベンチャーゲームです。
このゲームは、Windows95/98用なのですが、Windows8.1のパソコンでも、なんとか動いています(MAP移動で移動先の名称が表示されないという不具合がありますが)。
栗之森林吾(くりのもり りんご)は普通の男の子。そんな彼のもとに突然送りつけられるアンドロイド471号。「御主人様~」と呼ばれ、好奇心と下心から彼女をかくまうことに。あれこれあって、471号は同じ学校の生徒「しない」として、一緒に学園生活を送ることになるのでした。
しないに振り回される(振り回す?)林吾も、始めはなかったある感情が数々の事件を通して徐々に芽生えてくるのでした。
なぜか林吾の行く先々でトラブルが発生(異星人が出る話も多い)。クラスメイトも個性的なキャラクターが多く、落ち着く暇のないドタバタギャグコメディーが展開されます。
彼女の のぞみさんは忍者ですし、神社の巫女さんは角が生えていますし、親友のレオは、感情的になると獣化しますし、呪術士もいるという なんでもありの世界に最初は戸惑いますが、すぐに慣れて虜になりますよ。
栗之森林吾(くりのもり りんご)
主人公。血のつながりのない義母と2人暮らし。全てにおいて健康的。エッチで単純、いい加減。行動は極端だが、男子生徒や一部女子生徒の信頼は妙に厚い。 (CV:山口 勝平)
しない [アンドロイド471号]
林吾に尽くすアンドロイド。無感情で加減を知らないが、感情豊かな女の子に成長していく。傍目は頼りなさげだが、戦闘モード(ヤサイモード)を搭載している。 (CV:岩坪 理江)
のぞみ
林吾の幼馴染で恋人。なぜか忍者(現在は抜け忍)。正義感に厚く弱いものいじめは大嫌い。けっこう嫉妬深いので、しないやマキとセットで どたばたの一因になっている。 (CV:飯塚 雅弓)
マキ [霊元導師]
林吾に一目ぼれ。可愛い女を目指して日々努力する熱血恋愛家。何事にも先ずは行動なタイプだが、淑やかな女性に憧れている。
レオ
林吾の親友で自称ライバル。感情が高ぶると獣化(といっても可愛い仔ライオン)する難儀な体質の持ち主。アフリコの王国の王子。 (CV:伊藤 健太郎)
竜姫(りゅうひめ)
幼いころから林吾の姉として接してきたため、林吾の憧れの女性。優しく気高い巫女さんで、なぜか角が生えている。妖怪関係に強く、あちこちへ御祓いをしに駆け回る謎の多い人。
しらりん [吸血鬼ハンター]
世界を股にかけるガンウーマン。7人のゾンビが眠る棺桶を常に引きずっている。姉御肌な一面もある。 (CV:天海 有海)
リルリル [肉食人魚]
竜宮城のお姫様。おしとやかだが、大食い。 (CV:菅原 文)
かぐや [月の女王]
月うさぎを従え、岩だらけの月世界から宝石のような地球を眺めていたが……見た目はおっとりしているが、実はしたたか。 (CV:徳光由香(徳光由禾))
魔魅(まみ)
閻魔大王の娘。情熱的でノリが良い。林吾をからかうのが大好き。 (CV:石田 よう子)
他にも妖精(でも邪悪)にマッチ売りの少女(CV:青木静香(あおきさやか))や、メデューサのゴーゴン、サンタのサンタギャルなど山のようにゲストキャラが登場し、うる星やつら のような はちゃめちゃ世界が続きます。
昔のゲームは一部のイベントシーンだけ音声が出るという、パートボイスが主流でしたが、えすえふアンドロギャる~は、メッセージウインドウ通りのセリフは喋りません。キャラクターごとに喜怒哀楽に合わせた何種類かの音声が用意されていまして、状況によって再生されるのです。
音声の例:
干物妹!うまるちゃんで、うまるちゃんが登場するときの「うまるーん」といった感じでしょうか。音声はWAVEファイルな時代でしたので、容量削減の理由もあったのでしょうね(インストール容量が少なかったのは、当時としてはありがたかったです)。SEの部類になると思いますが、まったくの音声なしと違って賑やかですし、ドタバタ感は出ていると思います。
BGMは34曲でMIDI再生。Windows標準の機能で聴くのではなく、MIDIの機械で聴くと印象が変わりますよ。
ぷろすちゅーでんとGood(アリスソフト)、お約束LOVE (林組) や、PiaキャロG.P.(カクテル・ソフト)など(全部古いなぁ~)、第1話「~赤い糸~」といった、アニメ感覚で楽しめる複数話構成のAVGって、時々発売されますよね。えすえふアンドロギャる~ もこのタイプです。
基本はオーソドックスなアドベンチャーゲームですが、場面転換時にMAP画面が表示され 行きたい場所をクリックして移動する仕様です。さまざまな場所でトラブルが起こるドタバタ感はありますが、これが、けっこうストレスなんですよ。一日一話でのんびり進めるのがおすすめです。
時々出る選択肢で、間違えたらゲームオーバーになったりしますが……直感で乗り切りましょう
これが、このゲーム最大の特徴でしょうね。
キャラクターの立ち絵バリェーション一つをとっても、このゲームの異常な情熱を感じることができると思います。
複数話構成のAVGは数あれど、全71話のゲームなんて、いまだに このえすえふアンドロギャる~しか知らないです。さまざまなストーリー展開を見せるので、背景シーンは151枚、イベントCGは259枚とこれまた他を圧倒しています。
ある程度ゲームが進むと時空画面になり、季節ごとのストーリー(63話まで)を選ぶことができます。あれだけ遊んだのに、まだ全然ゲームが進んでいなかったという衝撃は今でも忘れられません。ソーサリアンのシナリオが63本あるようなもので、世界の広がりを感じましたよ。
タイトル一覧:
63話までのストーリーを埋めると、いよいよ宿命編(64話~)が始まり、一気に、SFっぽくなります。1話の伏線がようやくわかってきますし、しないの正体も判明。
ここから先はお話が連続していまして、読み物として面白いのですが、ずっと続くと思っていた、ドタバタのゲーム世界が終わってしまう寂しさも感じます。最後の選択肢によって、2種類のエンディングがありますが、どちらもアニメ的だなぁと、今プレイすると懐しいですね。
Sugar+Spice!(Chuablesoft)、ひのまるっ(WHEEL)、ポケットに恋をつめて(青空ビスケット)のように、一話完結の短いエピソード山盛りで、しばらく放置していても問題なく遊べるゲームは貴重で、忙しい社会人向けに、今でも需要があると思います。
ストーリーを濃縮したようなさまざまな一話完結ストーリーを作り出すのが、普通のゲーム以上の労力が必要なので、挑戦しているメーカーはあまりありませんが、いつかは えすえふアンドロギャる~を超える話数のゲームがしてみたいです。