ジャンル :デジタルコミック ブランド :ナムコ 発売日 :1996年4月26日 対応OS :Windows 3.1 Windows 95 価格 :5,900円(税別)
ワルキューレといえば、FC用ソフト「ワルキューレの冒険」のパッケージや、アーケードの「ワルキューレの伝説」のドット絵でおなじみ冨士 宏さんデザインの可愛く凛々しいキャラクターがすぐ頭に浮かぶのではないでしょうか。
羽根の付いた帽子、金髪(三つ編み)、白い民族衣装に緑色の甲冑、円形の盾、そして剣。日本ではワルキューレ=ナムコのワルキューレとなっており、ナムコを代表するヒロインキャラクターの一人になっていると思います。
ワルキューレのパートナーとして、サボテンみたいな緑色の生物「サンドラ」も有名ですが、ワルキューレに外伝があり、小さなワルキューレみたいな「ローザちゃん」となると知っている方は少ないのではないでしょうか。
マーベルランドと天空とのはざまに浮かぶ、天の浮き島。魔法や学問の研鑚のために地上と天上界から多くの研究者が集まっています。最近 天上界に封印されていた怪物・トールシンが逃げ出したのです。同時に、人々が突然ぬいぐるみになる事件が発生するようになりました。
「ローザ、救いを求める子がいます……あなたの助けが必要なのです。さあ行きなさい……」
大女神様は天上界の住人ローザに調査を命じます。まどろみから覚めたばかりの少女ローザだけでは心配と、ワルキューレと一緒に帆船で浮き島へ向かうのでした。
主人公。生まれたばかりの未熟な女神。早くワルキューレのように一人前の女神になろうと、失敗を繰り返しながらも、めげることなく事件を追いかけていく。ミシェールに恋心を抱く。
今回はローザのパートナーとして、世話を焼く。ローザを心配するあまりに 周りが見えなくなり、ときおり調子を狂わせることもある。
ヴィオレットによると、ローザのせいではなく元々天然な性格らしい。
フローランドの管理人。気高い女神だが、怪物・トールシンに同情した優しさと弱さも持つ。
ワルキューレとは以前からの知り合い。自分の仕事場で勝手に動き回るローザとワルキューレを快く思っていない。
おおらかな性格でけっこう強引? ローザとワルキューレにトールシン捕縛を命じる。
心優しいサンドラの少女。花を愛し、浮島で植物・農耕に関する研究をしている。
呪術の研究のためフローランドに来たコアクマン。見た目は美少年 ニヒルな風貌に寂しげな横顔で、女性のように色っぽい表情をみせる。変わったもの集めという変な趣味がある。
ローザの冒険 で検索するとプレイ動画が見つかりますが、なんだ このカクカクな動きは? と感じると思います。
ローザの冒険の約250カット数のアニメーション(総セル画枚数 約2,000枚)は凄いのですが、30分アニメ(総セル画枚数 3,500~4,000枚)と比べてしまうと、少ないですよね。
制作指揮の石田正則さんはファンブックで「上位の機種だけで動きますよというと、それなりのクオリティーのものが簡単にできます~」と話していますが、パソコンは機種によって性能にかなり差があるのが家庭用ゲーム機と違うところで、最低限の性能で充分遊べるように作ってあるからなんですよ。
ローザの冒険はWindows3.1でも動作します。Windows3.1のパソコンは、メモリが4~8メガバイト、ハードディスク420メガ、2倍速CD-ROMが主流で当時のアニメーションとなると、QuickTimeで、横240ドット×縦180ドットでした。今のディスプレイで見たら 豆粒のような大きさですよね。
アニメと考えずに、コミックの延長として楽しみましょう。MP3なんてない時代にフル音声で 歌も流れますし、次々と絵が変わる256色の美しい画面。PC98時代とは違う CD-ROMの容量パワーを感じました。立ち絵主体のノベルゲームとは、まったくの別物ですよ。
ストーリーを見ると真面目な感じがしますが、本編はかなりコミカルで、作画崩れのようなギャグっぽい演出もたくさん出てきます。
見ていて楽しいのですが 深刻な事件なのに、2週間放置したり別の浮き島へ行ったりと行き当たりばったりの捜査で、のんびりしていていいのだろうか、と思う部分もありました。神々はおおらか と考えるべきなのでしょうか。
本作はほぼ一本道のノベルゲームなのですが、ひぐらしのなく頃にのように、先が気になってやめらない面白さはないですし、ギャグ漫画のように笑えるところもありませんでした(私の場合)。ローザちゃんとワルキューレの行動を微笑ましく見守る という感じかな。ロリロリしいローザちゃんが可愛い、声優の鈴木真仁さん最高! という方でしたら楽しめることでしょう。
不満点は、プレイ時間が短いこと。全体としてお話がダイジェストっぽいのですよ。
(ローザがいきなり剣を入手する、サンドラの伝え忘れたこととは?、占いのおばあさんを探す旅、一瞬しか登場しないフェアリーズなど)
ワルキューレの伝説のようなアクションゲームと考えると、各セーブポイントまでが1ステージでちょうどいい分量だと思うので、ローザちゃんを操作するアクションゲームとしてリメイクして欲しいです。
ゲームと同時進行で制作されたと思うのですが、上手く構成されており、ゲームよりも話の流れがスムーズで違和感がありません。コアクマンで定住の地をもたないため、意味もなく嫌われてきたことや、ビアンカの夢など、世界観もより詳しく説明しています。
ゲームにないエピソードもあり お話としてはドラマCDの方が楽しめました。空からの羽 という情報伝達手段があったのですね。
ゲーム本編では一部しか流れない主題歌もフルで聴くことが出来ます。
設定イラスト、スタッフインタビュー、声優フォトグラフなどを収録。ゲームパッケージと違って、表紙に知名度抜群のワルキューレを出さないところが 潔いですね。
ワルキューレの冒険、ワルキューレの伝説、サンドラの大冒険のイラストも多数収録されており、ワルキューレシリーズの画集としても楽しめます。しかもスタッフインタビュー、記者会見・イベントの様子、声優さんたっぷりと読み物も充実していますし、冨士 宏さんの漫画に加え、ここまひ、島田ひろかず、田中としひさ、田沼雄一郎(敬称略)のイラストメッセージと盛りだくさんで、ファンブックのお手本のような本になっています。
スタッフインタビューでは、マルチエンディングの構想や、ローザが剣を手にするまでにゲーム1本分の話があったなど、興味深い話が満載です。
当時は ゲーム本編に盛り込まれていない話を語られてもなぁ……と否定的でしたが、今 読み直してみると、ワルキューレ久々の新作として、そうま竜也さん、冨士 宏さんと話しているうちにいろいろアイディアが出てきて、デジタルコミックに限らず、シリーズ化したいという強い思いが伝わってきました。今からでも、ワルキューレシリーズとして新作をプレイしてみたいものです。
Windows10(32ビット版)でも、互換性タブで「カラーモードを制限する 8ビット(256)カラー」「管理者としてこのプログラムを実行する」にチェックをいれると、インストール・起動はできました。
しかし、画面の書き換え動作がおかしく、画面が崩れます。シーンが変わったり Endをクリックしてから終了せずに戻ると、画面は元に戻るのですが、このゲームはよく動くので すぐに画面がぐちゃぐちゃになります(Corei5-520Mの内蔵グラフィック機能使用)。
メッセージウィンドウと音声は問題ありませんが、それだったらドラマCDで充分だと思います。
このゲーム、セーブスロットが1つしかありません。前の章に戻りたいと思ってもできないのですよ。デジタルコミックといいながら、コミックよりも劣ってる箇所だと思います。
windowsフォルダ配下に NAMCO.INI というファイルがあり、中身は以下のようになっています。
[Valkyrie] Data=0NAX
0NAX の 最初の0(ゼロ)がセーブ章で、ここを1~9,Aと変えると「つづき」を選んだときの章が変わります。9の次はAになり、Aが最終章です。
2桁目の N はクリア状態をあらわし、 Nは未クリア Cはクリア(おまけが開放)となります。Data=0CAX とすると、はじめる・おしまい・おまけ となり、「つづき」 がないのにクリア後のおまけが見られる状態になります。
3・4桁目のAXは、ゲーム中での行動フラグのようです。ミシェールに事件のことを聞くとBXに変ったりしますが詳細は不明です。