夢のつばさ Fate of Heart ジャンル :恋愛アドベンチャーゲーム ブランド :KID 発売日 :2002年3月30日 (PS版は2000年9月28日) 対応OS :Windows 98/ME/2000/XP 価格 :5,040円(税別) (初回生産分特典テレカ付)
夢のつばさとは、幼い頃に両親を亡くした飛行機好きな主人公(深山直人)になり、ちょっと不思議で切ない夏の体験をする恋愛アドベンチャーです。
「あなたの夢を壊すことが私の使命」 すばらしいキャッチフレーズですよね。
実際プレイしても 感動して涙が出るなんてことは ありませんでしたが、それでいて妙な存在感のあるゲームとなっています。このゲームをすると、なぜかに放浪の旅に行きたくなるんですよね。
今でも ノスタルジックな気分になる不思議な作品です。イメージとしては 涼しい夏の北海道なんです(夏はどこも暑いと思いますが)。
家の格納庫に眠る、1機の赤い複葉機。 旧型の九三式中間練習機「赤とんぼ」 この飛行機に乗って、大空を自由に飛び回りたい。 それが、幼い頃に母親を亡くした直人を、 男手ひとつで育ててきた父親・勝の夢であり、 ……そして、直人自身の小さな頃からの夢だった。 小学6年生の夏休み。 東京へ行くために、セスナ機ら乗り大空に飛び立った父。 それが、直人が見た父親の最後の姿であった。 そして、その日から直人の 時 は止まってしまった。 あれから5年。 直人は私立晴空高校の2年生となった。 そして、今年も、父が大空へ飛び立ったまま行方不明になった日、 8月20日がやってくる。あのときと同じ日に、同じように空を飛び、 空で父が感じたものと同じ 何か を感じたい。 そうすることで、止まったままの自分の"時"が戻ってくる気がするから…… 7月2日。 そんな想いが募るいっぽうだった直人は、 無許可でULP(ウルトラライトプレーン・一人乗りの超小型機)を動かし、 飛ぼうとする。離陸直後に何かにぶつかり、墜落しそうになったため飛行を中止。 その直後の出来事だった。 草原に倒れる、ひとりの少女を見つけたのは……
主人公。両親が他界しています。
父の形見のULP(ウルトラライトプレーン)で空を飛ぼうと、命日(8月20日)までにULPの飛行資格を取ることを決意する。
謎の多い 不思議な同居人 身長 :160cm スリーサイズ :80/56/86 誕生日(年齢): 5月16日(17才) 血液型 :A型
世間ずれしているというか、誰でも知っていることを知らなかったりまわりを惑わせる言動をしたりする。不思議な雰囲気のする女の子。性格はおとなしく、優しい。
だから……。
せめて……わたしが消える前に……直人だけは助けていきたい……
近所に住む幼ななじみのいとこ 身長 :163cm スリーサイズ :86/60/87 誕生日(年齢):11月11日(16才) 血液型 :O型
近所に住む叔父夫婦の娘(いとこ)。直人とは幼稚園からずっと同級生だった。
明るく気さくで世話好きな性格。ただし口よりも手が先に出るタイプで、直人の前では素直になれない。
でも……
この気持ちは変わらないと思う
直人を慕う後輩の女の子 身長 :155cm スリーサイズ :80/59/83 誕生日(年齢):12月 8日(15才) 血液型 :B型
直人の親友、白菊疾風の妹。
思い込みの激しい性格で、直人を運命の人と信じてつきまとう。少しわがままなところもあるが、夢を実現させるためなら努力を惜しまない健気な一面もある。
また直人さんと一緒に 夢をかなえていけるんだよね
喫茶店のお姉さん 身長 :163cm スリーサイズ :80/55/82 誕生日(年齢): 1月 7日(20才) 血液型 :O型
喫茶店「since1960」でアルバイトをしている女子大生。責任感が強く、まじめで優しいお姉さん的存在。
しかし、とある事件以来、他人に対して心を閉ざすようになったらしい。そのため、どこか人を寄せ付けないような冷たい印象を人に与えている。
ほら、わたし、深山君が飛んでいるところ、
まだ絵に描いてないよ。
学校のアイドル的存在 身長 :153cm スリーサイズ :79/58/82 誕生日(年齢): 9月28日(16才) 血液型 :A型
桜花と同学年の容姿端麗、成績優秀、品行方正な女の子。家は、茶道の家元で、正真正銘、折り紙付きのお嬢様。
お菓子づくりが趣味。なぜか直人を好きになって告白する。
これだけは信じてくださいね。私、いい加減な気持ちで、
あの手紙を書いたわけじゃないんです。
Windows10(64ビット版)で問題なく動作しています。ゲームの起動時にウィンドウモードとフルスクリーンの選択ができるため、ウィンドウモードで遊べます。
フォントは、通常の文章と女の子のセリフ(全員一括)、をそれぞれ指定することができます。
別売りだった、アクセサリーソフト『Angel Present』も収録
まわりがモノクロのスケッチ風というのがお洒落ですよね。 最初見たときにはCanvas(F&C)っぽいなぁと思いました。
成瀬ちさとさんのキャラクターデザインがとにかく素晴らしいのです。 淡い色使いで、にっこり笑っていても儚そうな感じがします。 アニメ塗りともギャルゲ塗りとも違う、背景と同じタッチで描かれており、 BGMとも合わさって、作品全体が幻想的なんですよ。
特徴?? と言われそうですが、阿保 剛(あぼ たけし)さんによると、すこし癖のある曲や7拍子の曲など少し違ったアプローチで作曲したそうです。
秋水志菜乃さんのBGM(Shinano)は今までに聞いたことがない哀愁のある感じで衝撃を受けました。日常(The fate of the moment)やしずくのテーマ曲(Shizuku)も今聴いてもすばらしいです。
選択肢によってキャラクターの好感度(内部パラメータ)を貯めていくタイプのゲームですので、序盤は どの選択肢を選んでも展開はそれほど変わらないのですが、過去に選んだ選択肢の複数の組み合わせが、自然な流れの会話に反映されます。
……など。全部のメッセージを読むのは無理じゃないんだろうかと思うほどで、昔のゲームはフラグ管理が実に丁寧だったんだなと、関心しきりでした。
アドベンチャーゲームと相性がいいのか、専門用語の解説や豆知識が辞典に登録されていく"TIPS"と呼ばれるシステムが流行りましたよね。
でも中には、TIPSを増やすために、わざと専門用語を増やして読みづらくしているんじゃないかと思えるゲームもありました。
夢のつばさの なにも気にすることなく読み進められる点は もっと評価されてもいいと思います。
このゲームを楽しむためには、深山 直人君を 温かく見守るおおらかさが必用です。
両親が他界している悲しい部分もありますが……叔父さんが経営する牧場の中に父親と住んでいた家があり、そこに今も一人で住んでいられて高校にも行けること自体 恵まれていると思うのですよ。
身の回りの世話は、叔母さんや娘である勇希ちゃんがみてくれてますし、弁当も用意してもらっています。
ULPで空を飛ぶのはいいですが、その後どうするつもりなんでしょうか。飛行機のパイロットになりたいのか、それとも設計や整備士? どちらにせよ高校の登校日を忘れていたり テストで赤点すれすれって……「ボーっと生きてんじゃねーよ!」とチコちゃんに叱られること間違いなしです。
5年目の命日にこだわって、無免許でも飛ぼうとしたり、父親の墓参りは 父が墓にいないから(行方不明のため)という理由で、叔父夫婦に任せきり一度も行かないのも、高校生として幼すぎますよ。
九三式中間練習機「赤とんぼ」を修理して空を飛ぶエンディングもありますので、やることが はっきり決まりさえすれば、真面目に全力で目標に向かって頑張るのでしょう。また、問題を先送りにして しずくを ずっと家に置いておく思考も変ですが、これはしずくのファンタジー能力と考えて 気にせずゲームを進めましょう。
しずくちゃんは影の薄いヒロインなのですが、今ではそれも 夢のつばさの魅力だと思っています。
人気が高いのは、幼なじみの勇希ちゃんでしょうね。お互い素直になりたくてもなれず、いつもは喧嘩になってしまう。でもなにかと面倒を見てくれますし、主人公もそれに感謝している。
くっつくのは時間の問題ともいえる、実に王道なキャラクターなのですが、そこをしっかり読ませるストーリー展開になっているのが素晴らしいです。勇希ちゃんは本当に可愛いよ~ゴロゴロ。
一方、くせがあるのが桜花ちゃん。いきなり「運命の出会いなんだよ~」とか言われてお弁当作ってくれたり、交換日記をしたりとイベント盛りだくさん。
懐いてくれる後輩キャラっていいよね~ と思っていたら「好かれたから好きになったんじゃないの?」と問われるような終盤ですからね。これはギャルゲーに対する挑戦だ! というのは大げさですが、ヒロイン達が勝手に好いてくれるゲームに慣れていると、親友からも冷たくされるバットエンドが本当に辛いです。
そして、お姉さんキャラの志菜乃さん。他のキャラクターとはまっく違う展開になります。どうなるんだろうと、とにかく先が気になる謎多きキャラクターでした。
夢のしずくは、すぐにバッドエンドになるのではなく、ずっとストーリーが続くのがいいですね。
最後のキャラクター 澪ちゃんですが、可愛いけれど内容がないのが残念です。
こういう予告編のような冗談で構想していた内容が実現した例としましては、Canvas2 や リリカルなのは がありますので、「夢のつばさ2002」の発売、待っています(2022でもいいです)。
全員に しずく的な存在がいるわけではないので、なぜしずくの使命に 父親が選ばれたのでしょうか。
父親の件の罪滅ぼしといいつつ、一緒に高校に通ったり 一緒に住んでいるのに 朝いない、夜遅く帰ってくる、自ら話しかけてこないと、ほとんど直人と会話もしない日があったりと、存在感がなさすぎます。
メモリーズオフ(学園もの)、infinity(サスペンス系)に続く第三の柱として、夢のつばさはファンタジー系の作品にしたかったのかな? と思いましたが、実際は しずくちゃんのファンタジー設定に頼らなくても充分面白いんです。しずく 必要ない?
"消せない罪抱きしめて……近くにいるほどに募る思いは 少しずつ確かに いずれわたしを消してしまうのでしょう。"という、オープニングソングでしずくの想いは伝わるのですが、どこで直人を好きになったのでしょう。一緒に住むようになって、学校生活をしていくうちに? 父親の命日にULPで空を飛ぼうとしている直人の頑張り・飛行機に一生懸命なところ?父親の死からずっと見つめていたから?
しずくが役に立ったのって、勇希シナリオで、勇希がヤキモチを妬いてしまうことにより、直人とお互い素直になれたこと……なんて不憫な しずくちゃん。
しずくが直人にULPでの飛行をやめさせるように働きかけると、意固地になって飛ぼうしますし、直人が他のヒロインキャラクタールートに入ると、飛行機よりヒロインを優先することにより 結果として事故は防げてしまうという、報われないしずくちゃんです。
でも、しずくが帰ってしまうと 他の人達はしずくに関する記憶が無くなるのが寂しくて、放っておけない魅力のあるキャラクターなんです。淡い背景、牧場のある夏の高原地、幻想的な音楽に 空気のようなしずくちゃん。夢のつばさが しずくのいない普通の恋愛アドベンチャーでしたら ここまで心には残らなかったはずで、計算じゃなく 偶然 こんな作品が出来てしまったんじゃないかという 危うさ・儚さもゲームから感じることができます。
しずくがなぜ直人を好きになったのか わからないのと同じように なぜかしずくを好きななる不思議なゲームです。ちょっと口をあけて無気力そうなのに、イベント絵になると 目をキラキラさせて 元気になるギャップがいいのかなぁ。
しずくトゥルーエンド後は、普通の女の子と変わらないはずなので、怒ったしずくちゃんや、シャツ一枚で 恥ずかしがるしずくちゃんも見てみたいものです。
PS版の攻略情報に加えて、キャラクターの設定資料集に 成瀬ちさとさんのカラーイラストたっぷりのビジュアルブックです。
しずく:バカッ なんて言うことあるのかな? とか、勇希:胸もっとですか? なんて書き込みがあったりして楽しいですし 困っている表情が見られたり、桜花ちゃんの初期設定もあり、すべてが可愛いです。
また、絵を描き始めたきっかけや、キャラを描いたときのエピソード、プレイバイメールの話など成瀬ちさとさんのインタビュー記事も読み応えがあります。
制作スタッフや シナリオライターさんのインタビューはありませんが、夢のつばさの場合 シナリオの狙い、意図なんて話は不要だと思います。
名曲ぞろいのCDです。
オープニングソングがゲームでは聴けないフルバージョンで収録されていますし、全BGMの収録に加えて、プレイステーション版の曲を元にシンセサイザーで演奏させてみたバージョン5曲も収録されています。
これを聞くと、なぜか高校時代の夏休みを思い出してしまい 涙が出そうになるほどノスタルジックな気分になります。
第1話 奇跡の後で…… (最後に選択肢) ・Aルート 第2話 泉のしずく 第3話 コーヒーの苦味 第4話 新しいつばさ ・Bルート 第2話 たのしみだね~ 第3話 どっちもどっちの料理でショー 第4話 世話の焼ける人間たち ・おまけルート 忘却天使しずく
しずくが人間になり、直人と恋人どうしになったあとの物語です。
ハッピーエンドなのですが、直人はともかく しずくは素直に喜んでいない様子。勇希や、桜花ちゃんの気持ちも知っているので 後ろめたさがあるのでしょう。そんな ヒロインたちが気持ちの整理をするお話です。しずくの翼はなくなったけれど、夢のつばさは確かにある という綺麗な終わり方で、勇希ちゃんこそ天使です。
一方 Bルートはコミカルな料理対決……なんですが、ヒロインはしずくではなく 勇希ちゃんでした。志菜乃さんは料理のプロなのに、こんなのでいいのでしょうか。 おまけの「忘却天使しずく」は最初の感動が全部消え去ってしまうような、暴走したシナリオで最高に楽しかったです。
TVパニック という ゲームソフト販売店が企画。夢のつばさドラマCDを宣伝するという内容です。
氷上恭子さんがラジオパーソナリティとなり、しずく役の 本井えみさん、桜花役の 倉田雅世さんが ドラマの聴きどころや 収録エピソードを語っています。ドラマでの料理対決の話から、お二人の料理の腕は? なんて話になる 声優さん主体のCDです。
男性キャラクターを含めた他のメンバーの出演者メッセージもありまして 個別に音声を録るゲームと違って 今回のドラマは一同が収録ブースに集まったので とても賑やかです。
また、ドラマCDを紹介するドラマ(ややこしい)も収録されているのですが、なぜか しずくちゃんが暴走しています(^^;