いちょうの舞う頃 - Autumn colors - ジャンル :AVG(ビジュアルノベル) ブランド :Types 発売日 :1998年10月9日 対応OS :Windows 95/98 価格 :8,800円(税別)
今回の いちょうの舞う頃 は 年齢制限のあるゲーム(いわゆるエロゲー)となります。
To Heart(トゥハート)のようにテキストが全面に表示されるビジュアルノベルです。セリフの前にキャラクター名がないので小説感覚で読んでいけます。
新規メーカーで注目していなかったのですが、パソコン通信で話題になっているのを読んで購入し 楽しめた思い出のゲームです。
(1998年の人気投票では、シナリオ部門:5位 サウンド部門:3位 CG部門:圏外 でした)
ファンタジーな展開や、大げさなドタバタ劇、語尾が特徴的な媚びたキャラクターが登場しない恋愛ADVなのですが、落ち着いた素晴らしい音楽と 文章で茜ヶ丘の世界にずっと浸っていたいと思える 地味ながらも くせになる作品です。厚塗りのような 妙に黄色いグラフィックも 秋という季節にぴったり合っていると思います。
都心から電車を乗り継いで一時間くらいの場所にある、ローカルな雰囲気の漂う街。そこを流れる茜川は、秋になると茜の花が美しく咲き乱れることから その名がついた。
主人公たちの通う学校はその名も 茜ヶ丘学院。茜川のそばにある のんびりとした校風の学校である。茜ヶ丘のもう一つの名物は、そこかしこにみられるいちょう並木。秋になり色付いたいちょうの葉がはらはらと舞い散る様は美しい別世界。毎年、大勢の見物人が訪れる。
幼い日に交わした約束 恋と友情との狭間で揺れる十代の心 傷つけあい、戸惑いながら、それでもみんな大人になっていく 素直になりたい、素直になれない ほんとはずっと言いたかった 好きだ って 想いあっていても わかりあえない せつない もどかしい そんな二人の奏でる不器用な恋愛物語 また、いちょうの舞う季節がやってくる・・・
Windows10(64ビット版)で動作しています(私の環境では、一時間くらい遊んでいると応答なしになることがあるので ときどきセーブすることをお勧めします)。
ゲーム中にウィンドウモードとフルスクリーンの選択ができるため、ウィンドウモードで遊べます。2000年問題に対応していないためか、セーブ時の日付が変になりますが プレイには問題ありません。
ただ、Windows10ではCD-ROMから流れるBGMがループしません(BGMが変わるまで音楽なしになる)。_inmm.dll というソフト(iroriさん制作)を使うことで、いちょうの舞う頃で流れるBGMがループします。Yahoo!ジオシティーズが終了したのですが「_inmm.dllのホームページ」で検索すると、今でも入手することができます。
次の選択肢までとばす を選んだ場合、BGMが切り替わるたびに少し待たされるので、周回プレイでスキップを多用する場合は、スキップ時だけBGMをオフにすることをお勧めします。
当時の私の場合、今と違って積みゲー・積みDLゲーはなく、悩みぬいて一本のゲームを買うと クリアしてしまうのがもったいなくて、少しづづ何度も読み返したり、選択肢はとりあえず全部選んで反応を確かめる なんて遊び方をしていました。
思い出補正(おもいでほせい)とは、昔経験した内容が美化されることを意味する 2ちゃんねる用語である。
……というわけで、ゲーム紹介や感想を書いても どうしても好意的になってしまいます。今遊んでも面白いのかは客観的に評価できないのですが ツイッターを検索してみると 今でも好きな人は確かにいまして、それが妙に嬉しい そんな作品です。
悠介(主人公) の一つ年上の幼なじみ。明るくしっかり者で2年のとき、生徒会長をしていたこともあった。凛とした存在感のある健康的な美人。
彼女の両親は離婚していて、現在は父親と二人暮らし。泣き言一つ言わずいつも明るく振る舞う芯の強い娘だけれど、彼女の支えとなっているのは実の家族のように暮らしてきたお隣の秋山一家。そして 出来の悪い弟のような存在だった幼なじみの悠介である。
心の片隅で幸せな結婚に憧れているのは、彼女の育った家庭環境のせいかもしれない。
まことは根っからの世話好きなのだろう。好きでやっていることだから といってかーちゃんの手伝いをするのは、うちの財産を狙っているとしか思えない。いつも弁当を作ってくれるけど、機嫌が悪いときは 海苔でおおきくバカと書かれていてまいったよ。
茜ヶ丘学園で美人といえば、まっさきに名前があがるのがこの人。引退するまではラクロス部始まっていらいの鬼キャプテンとして後輩から恐れられていた。その反面、美しく気品があり、時には優しさも見せる彼女は、下級生の女子から人気があり、本人は女の子にばかり もてることに少々不満を抱いている。
完璧にみえる彼女だが、誰も知らないところで 結構どじったりするところがある。両親は芸術家で、現在フランスに住んでいる。
ラクロス部の鬼キャプテンと思えない、優しくて美人な先輩。一人っ子で独り暮らしなので、弟(俺のこと)ができて大喜び。弁当を作ってくれるのは嬉しいけど、まとこのと どちらが美味しいか聞かれる のには困ってしまった。
とにかく地味な眼鏡っ娘。泣き虫で、いつもおどおどしている。厳しい両親のもとで育ち、兄弟もおらず、学校で千枝と知り合うまで常に孤独を抱えていた。しかし、最近千枝が部活に熱中するようになり、再び孤独を感じるようになった。
親の言いなりに生きる毎日。本当はもっとおしゃをしたり大勢でカラオケにいったりしてみたい。だけど、父親が厳しく、またそんな勇気ももてない彼女は、すぐになんでも諦めてしまう。いつか変わりたい、千枝のような強い女の子に、と願う毎日。しかし一歩を踏み出す勇気を彼女は持てない。趣味は読書。
一人で悩んでいるに違いない。力になってあげたいけど、どうすればいいのか……
「どんな道も 必ずどこかへつながっている」肝心なのは言葉じゃなくて自分を信じること。かーちゃん会わせてからは、積極的になりより可愛くなった。
「いままでは夢みることに、夢見てたんです」
ラクロスに燃えるスポーツ少女。中学時代、いつもうじうじおどおどしている みやこが放っておけず、おせっかいをやくうちに いつのまにか みやこと親友になっていた。
気が強く頑固なところもあるが、本当は優しく思いやりのある普通の女の子。何事にも一生懸命な彼女だが、その分他人に頼ることができず、辛いことや悩みを一人で背負込んでしまうことが多い。気が強く自己中心的なところのある彼女だが、一途なところが可愛くもある。
現在ラクロス部でレギュラーになるために一生懸命部活に励んでいる。
「まったく、頼りないなぁ」「いいから。いうとおりにしなさい」「お、ちぉんときたわね。えらいえらい」後輩なのに、いろいろ指図したりダメ出ししてくる。
上級生からいじめられていたけど、そんなことには、めげていなかった。あいつらより上手くなって ギャフンといわせてやるんだ とかなりの努力家だ。
ずっと一緒にいたから、それが当たり前みたく思っていたから、好きとかそういうの考えたことなかった……って ギャルゲー慣れしていると「また、このパターンかよ」と思ってしまう、てんぷれっ!!(CIRCUS)よりもテンプレートな展開ですね。でも 久々に再プレイしましたが 面白く読めてしまいました。
理由を考えてみますと、選択肢が多く プレイヤーが介入しており、時には自分の信念で強引な行動をとらないといけないので、心が苦しくても"彼女にしてあげられることはなかもなかった" と プレイヤーが覚悟している ことが影響しているのかな。
まこと以外のヒロインは選びづらいのですが、親友の勝典の存在が大きいので心が痛いながらも こういう IFもありなのかなと思います。
そもそも なんで主人公はこんなにモテるんだ? と思いますが
他にも 以下のような初々しいところもポイントが高いです。
ギャルゲーの場合 なんでもできる主人公で、しかもヒロインに気づかれないよう行動するという変な心遣い。結局 あの時の行動にはこんな意味があったんだ とヒロインが察する……
なんてパターンも定番ですが こういうあからさまなのは 私は苦手なので、小さなエピソードを積み重ねて 作品世界を表現している いちょうの舞う頃 は素晴らしいです。
反面、一日ずつ律儀に日付が進んでくので平坦で退屈に思える人もいると思います。
主人公とヒロインだけではなく、妹に彼氏ができて一緒に飲みに行くとか、昔の友人が会いに来てくれる、母親が泣いてしまうなど 他のキャラクターたちが愛おしく感じていまいます。
数年後の未来から 昔を懐かしむ内容で、また高校生に戻ってみたい 住みたくなる茜ヶ丘にもっと浸っていたいと思えるのもこのゲームの特徴だと思います。
あの頃のことを振り返ると、時々、全てが夢の中の出来事だったんじゃないかと思うことがある。
舞い散るいちょうに包まれた、幼かった二人の小さな夢の世界のできごとだったのでは、と。そとて、その夢は、今もまだ続いている・・・
そして哀愁のある名曲 Autumn Breeze~The Timeless Mind~が流れます。
ハッピーエンドはもちろん、各ヒロインごとに違うバットエンドも味わい深いです。
本編の主人公。高校生の癖に勉強もせずスポーツもせず、しかしこれといって趣味ももたない。はた目に見れば しょーもないやつ。しかし、彼と親しく接する人々にとっては ほっとけないやつ。
彼と吉沢まことは家が隣同士の幼なじみで、実の姉弟のように育った。やがて年頃になり、お互い男と女であることに気づいた時、二人は戸惑いを覚える。
悠介 の中学からの親友。バスケ部のキャプテンで、背が高くがっしりと筋肉質な体格をしたスポーツマン。友情に篤く恋よりも親友を選んでしまうタイプ。悠介とは悪態をついたりつかれたりしているが、いざというときは やはり一番の親友。
頭を使うより体を動かすのが得意で、ジャムパンが好物という 今時古風ないいやつ。
中学一年の頃は勝典とは仲が悪かった。まわりからライバルみたいに言われて勝典だけには負けたくなく一生懸命練習に励んだ。俺達がどれだけ熱心に練習していたかはお互いが一番よく認識していたと思う。いつの間にか仲良くなっていた。
悠介の母親。悠介が幼かった頃 夫を事故でなくし、女手一つで子供二人を育てた。気風がよく、人当りがいいため仕事仲間には大層慕われている。
現在作家としてOLむけのエッセイや中高生向けの青春小説を執筆している(ペンネームは茜音月子)。彼女の本は茜ヶ丘学院の図書室にも置いてあるくらい そこそこ売れているらしい。
学校の先生に「うちの子は大丈夫です。まっすぐ育っていますから。自分でなんとかするでしょう」とはっきり言うのはかーちゃんくらいだろうな。
機嫌を損ねると、その日の御飯は、昼、夜ともにご飯と漬物だけ。仕方がないので、冷蔵庫から ちくわを出してきて食べた。それを横目にかーちゃんが勝ち誇ったようにハンバーグを食べていた。実の息子にも厳しくて、いつまでも子供みたいな人なんだと思う。
悠介の妹。元気でしっかり者の中学3年生。兄の前で大人ぶってみせたりするが、やはりまだ子供、実は兄に甘えたいのである。友美が物心つく前に父親が他界しており、最近は知らず知らずの間に兄に父親の面影を見るようになった。
人前ではけっして弱さを見せない強い一面をもつ。将来は母親のような作家になりたいと 読書と勉強に励む。
朝の ゆさゆさ が気持ちよくて、眠くなるんだよな。料理が下手なのに、「今日はクリエイティブな気分だから」といって創作料理に挑戦したりする。
かーちゃんは女手一つで兄妹を育ててくれたんだ 我がままは言えないだろう。いっつも大人ぶって、気丈に振る舞おうとするのかもしれない。年上の千沙を呼び捨てにする 人見知りをしない妹だ。
親友の勝典とは別クラスなので クラスでは悠介一人です。学園もので 同級生のヒロインキャラクターがいない作品は珍しいかも。
他にも立ち絵のないキャラクターが多数登場します。
つぐみちゃん 2年4組。クラスメイトで毎日欠かさず挨拶してくれる。 「おはよう秋山君」「秋山君、ばいばーい」 「わたし、手伝ってあげよっか?」 「おはよう、秋山君。なんかいいことあったの?」 「秋山君、大丈夫? お腹空いているんだったら、私のおかずわけてあげようか」 「へへ、秋山君とカラオケ行くなんて初めてたね。なんか照れちゃう」 アキちゃん クラスメイトでつぐみちゃんの友達。最近彼氏ができたらしい。 アッコちゃん お蕎麦を食べに行くと くしゃみする。 ゆみこちゃん クラスメイトの女子 安田 坂下 加地くん クラスメイトの男子 みっちゃん 妹の電話友達 鈴木 2年3組。芸能記者なみにゴシップが好き。 田中君 2年2組。勝典のクラスメイト。つきあっている子と昼休みいちゃいちゃしている。 おばちゃん 勝典のおばちゃん。いい人だけれど、やることが大雑把。 大澤(立ち絵 あります) 2年5組。美術部の部長。 まき 吉沢まことの友達。 俺のことを まことの弟と本気で勘違いしていた馬鹿だ。 それ以来、いつも"弟くん"と呼んでくる。 千絵の弟・妹 松山健太 小学五年生 趣味は野球 松山勇太 小学三年生 松山みな 一番下の妹 みっちゃんと呼ばれている。 小夏ちゃん 悠介の好きなアイドル。 青い翼を歌っている。 おっちゃん 葛城薬局のおっちゃん。茜音月子ファンで 強壮剤を半額で売ってくれる。
全カラーCG掲載、ポスター・解説書・ホームページ・雑誌イラスト掲載。設定資料集にスタッフメッセージも掲載。チャート式攻略で エンディングまでだどりつけます(見なくても問題なし)。
あと 音楽CDとして、CLANN クラン 付属のボーカルアルバムに いちょうの舞う頃が収録されているそうですが、未入手です。
作品BGMにつきましては、製品のGAME DISKにCD-DAで全曲収録されています。
彼女のテーマがもっとも色濃く表された作品である。
「今を楽しく精一杯生きたいの!!」そんな理由で家を飛び出した少女直子。財布には千円札が3枚と小銭が少々、テレカが一枚あるだけ。
それでも彼女はその前途に明るい未来を見ている。地図のない未来に、自分で選ばなければならない これからの道のりに、確かな手ごたえを感じているのだ。
持ち前の明るさとポジティブな姿勢で、困難を乗り越えていく直子。貧乏な日もあれば、寂しい日もあった。寒い夜、暖かい夜、心細くてくじけそうになることもあった。
それでも、もう彼女は一人じゃない。理解し、応援してくれる友人たちに励まされ、勇気づけられた彼女の足取りは確かだ。
明るく前向き、一途で頑固な少女の心の旅を描いた作品「アンチテーゼから始めよう!」は、
作者の長年書き続けてきたテーマである"大人と子供の狭間で揺れる十代の微妙な心"そして
"青春のもどかしさ"を彼女持ち前のまっすぐな視点で描いた青春小説の傑作である。