バスターミナルは洲本港の近くにあり、港の近くはレンガと決まっているのか、レンガ作りの建物が建設中だった。まわりを見渡すと、ジャスコが目についたので、そこでたこ焼きを食べて一休み。塩屋緑地にあった観光地図によると、洲本川と千草川までが町の中心部らしい。この地図の範囲はそれほど広くはないので、ぐるっと一周できるかな。
まずは、千草川沿いの寺町界隈へ向かう。「かじにライチュウイ」という半分風化した看板(ポケモンネタですね)を見ながら、横道に入ると、お寺がずーっと続いていて、どこも線香の匂いでいっぱいだ。それぞれのお寺には興味がないので素通りしたが、古い墓石のようなものがピラミッドのように積み上げられていてるのにはびっくりした。
先へ進むと、昔懐かしいアーケードの商店街(本町商店街)に入る。暗くて静かでこういう雰囲気は好きなのだが、やはりジャスコに押されているのだろうな。抽選で旅行が当たるなど、独自のポイントシステムを導入しているようだ。
商店街を抜けて厳島神社の先には、近畿自然歩道の案内があり、洲本城跡への道があるとのこと。朝鮮出兵にも参加した秀吉の水軍の拠点だそうで、お城めぐりも一応しているので、行くしかないでしょう。…としばらく歩くが、安全の確認ができないため道が封鎖されていた。あきらめきれずに、もう一箇所のところにも行ってみたが、こちらも封鎖。とんびが飛んでいる山の上にお城のようなものが見えるのに…うーん、残念。
ずっと民家の裏道のような狭い道をずっと歩いていたのだが、このあたりの家の中には、瓦がとれていて、どう見ても雨漏りしているような、ひどい状態のところや、坂道に沿って団地のようにアパートが並んでいるところでは、坂の上の建物は倒壊していたりと台風の影響(だけではないような気がする)を実感。
その後、海に向かってしばらく進むと、潮騒の湯という足湯があったのでそこで一休み。湯気はたっていなかったのだが、けっこう暖かい。洲本温泉街はもっと先なのだが、こういうのがバスターミナル近くで無料なのはありがたい。その先には、淡路文化史料館があるのだが、今日は関西一円無料の日だそうで、ここも無料だった(普段は、入館料400円)関西一円という範囲は謎だが、これまた、ありがたい。
淡路島といえば、国生み神話。といっても、神話時代は絵本程度の展示でほとんど触れておらず、メインは鏡や石版の破片などの出土遺物かな。三角緑神獣鏡という昔の鏡も展示していたが、細かいところの模様にも凝っている。いままでこういうのには興味はなかったが、羽柴秀吉書状など何百年も昔のものが、残っているのはすごいなと、一つずつ見ていったら結構時間が過ぎていた。
2階の民族展示室は、庶民の日常生活用品の展示だったが、懐かしいと思うには古すぎるし、こういう展示はいろいろな所で見てきたので、とくに(私にとって)見るものはなかった。でも、まわりの壁には、直原玉青記念美術館として絵が何枚も飾ってあったが、淡路島の霧がかった幻想的な絵で、ふすま1つぶんくらいある大きいのもあり、見応えがある。先ほど通った寺町界隈にある千福寺のふすまやなどもこの方が描いていて、特に弘法大師修行図絵13面は見事とのこと。巡る順番を間違えた~。
その後はシーズンオフの大浜公園を歩いて、洲本市マスコット「ぽんたくん」を見たあと、淡路島交通のバスターミナルへ。こちらは、昔からの薄暗いバスターミナルで懐かしい。掲示によると、この洲本バスセンターは11月末で廃止、今後はJRの使っているバスターミナルに移るとのこと。老朽化のためだそうで、仕方ないかな。しばらく待って13時45分の来川行きのバスに乗る。由良温泉のさらに先に行く路線で、一日3本しかないローカル路線だ。なぜ相川かというと、また例によって愛読しているHPに影響されたのだが、都会(洲本)から離れた山の上にある車の入れない集落で、雛見沢のような雰囲気が味わえるのではと思ったから。一般的な観光地より、こういう交通の不便な昔の町への憧れがあるのでしょう。
バスは海沿いに走り、立派な由良温泉のホテルを過ぎると由良の街に着く。ほとんどの方が降りて3人だけになった。ここが一つの区切りのようで、港を渡る急な坂の橋を渡ると、道は1車線になり対抗車とすれ違うだけでも大変になりスピードも落ちる。ここからがすごかった。立川の停留所だと思うが、まさに峠越えで道がS時型にうねうね曲がりながら、どんどん高いところに向かっていく。「世界超偉人 なぞのパラダイス」と書かれたあやしい所を過ぎると今度は下り坂うねうね。もちろん、一車線だし、その間停留所は一切なしで、崖の一車線で車とすれ違う時は、本当にはらはらする。最初は停留所間を歩いてみようと思ったが、とても歩いていけるような所じゃない。
峠を越えると海沿いにしばらく進み、相川が海に流れこむ入江の内側に停留所があり、ここで下車。全然山の上じゃないぞ…と思ったが、集落ははるか上の方にいくつも見える、なるほど。坂をしばらく上ると集落の中に入ったようで、道が急に狭くなる。もののけ姫の序盤に出てきた道をさらに狭くしたような感じかな。人がなんとかすれ違えるくらいの幅の道が、両側は小石を使ったで壁があり、溝の中を歩いている気分。奥に住んでいる方は、全部の家の前を通っているのじゃないかと思うほどこの幹線がずーっと山の上まで続いていて、圧倒される。帰りは、別の下り坂から降りたが、どう道がつながっているか把握できないし、道がうねうね曲がって、山の奥に進んでいるようで不安になる。それでも、なんとか相川に沿った道に出で一安心。川は偉大で、あとは川沿いに歩くとバス停に戻ってきた。5分遅れのバスに乗って、また峠を越へ洲本バスセンターに戻る。いやー、面白かった。廃校になった中学校のことが「日本探見二泊三日(宮脇俊三)」に書かれていたのだが、見つけることができなかったのが心残りかな。
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